駄菓子屋のようなコーヒー豆や|はつかいち珈琲焙煎所 中島仲次郎商店

はつじょがいく!

廿日市市平良にある、はつかいち珈琲焙煎所中島仲次郎商店さんにお邪魔しました。

中島健さんにお話をお聞きしました。

店名はバイタリティある曽祖父にあやかって

平成26年(2014年)に創業された、中島仲次郎商店さん。

店名の「中島仲次郎」さんは、健さんのひいおじいさんにあたります。

明治6年(1873年)、仲次郎氏は廿日市市平良村に生まれます。
単身神戸港からアメリカへ渡り、知人も親戚も誰一人として知った人のいない中、勤勉な働きぶりで活躍。

中島さんは、そのひいおじいさんのバイタリティにあやかって店名に「仲次郎」と冠したそうです。

仲次郎氏はコーヒーが好きで、一緒に暮らしていた孫娘にあたる中島さんの叔母は、仲次郎氏のために朝コーヒーを入れていたそうです。

落ち着いた和モダンな店内

コーヒーのいい香りに包まれた店内には、仲次郎氏が船旅に利用したという木製の大きなトランクや、和ダンスが置かれ、キャッシャーの台も、昔なつかしい雰囲気です。

コーヒー豆を入れているのはなんと桶。お店の雰囲気を一層引き立てています。

中島さんは広島の老舗のコーヒー豆販売店、ニシナ屋珈琲の新谷隆一さんを師匠に、半年間マンツーマンで焙煎の技術を学びました。

店の奥には大きな焙煎機があり、ここで焙煎した豆を店頭に並べています。

中島仲次郎商店人気のコーヒー豆

お店には、11種類の単品の豆と5種類のブレンド豆があります。

一番人気なのは、「極楽寺山ブレンド」。
ブラジルがたくさん入った中煎りの柔らかいブレンドコーヒーです。

その次に人気なのが、「ガテマラSHB」。
SHBとは、ストリクトハードビーン(厳格な高地の豆)の略ですが、ガテマラは標高で豆を格付けしており、標高が高いと寒暖差で種がぐっとしまっておいしいと言われています。
コーヒーの貴公子と言われ、香りと味のバランスがとれた実力派です。

豆や粉を入れる容器、袋(缶、瓶、ジップロックなんでもOK)を持ってきた方は10パーセント増量してくださるそうです。

コーヒーによくあう、五日市のマルゴ醤油さんのカシューナッツ醤油豆も置かれています。

中島さんに聞く!おいしいコーヒーの入れ方

コーヒーの世界は難しいと考えている方が多いと感じていらっしゃる中島さん。

有名な料理人でなくてもおいしい家庭料理が作れるように、コーヒーも器具の特徴さえつかめば、ちょっとのコツで誰でもおいしいコーヒーを入れることができるんですとおっしゃいます。

そこで中島さんにおいしいコーヒーの入れ方を教えていただきました。

豆は挽きたてがおいしいので、できれば家庭で挽くのがベストですが、もちろん中島仲次郎商店さんでも、器具にあわせて豆を挽いてくださいます。

フィルターに粉を入れたら、でこぼこにならないようトントンと平らにならします。

ペーパーフィルターで入れる場合の適温は85度から90度。沸騰したお湯は温度が高すぎるので、口の細いポット(急須でも可)に移し替え、温度を下げます。

粉の真ん中にお湯を注ぎます。この時に端の方まで(フィルターの方まで)お湯をまわしかけないことがポイント。

このまま30秒蒸らします。

豆を焙煎すると、豆の中に小部屋ができその中に二酸化炭素が生まれます。挽いて粉にしたときにその二酸化炭素が香りと一緒に出てきます。

お湯を注いだときに粉がぷくっと膨らむのは、二酸化炭素がお湯で押し出されているから。

挽きたての粉にお湯を注ぐとより粉が膨らみます。

お湯をきらさないよう、全部落ちきる前に注ぎます。真ん中に注いでいると、だんだんと端の方にもお湯が行き渡ります。

既定の量が落ちたら、すぐにドリッパーを外します。
味が落ちるので、まだドリッパーにお湯が残っていても出し切ってしまわないことがポイントです。

 

お湯の温度が高かったり、豆を細かく挽くと表面積が広くなるため、コーヒーは濃く、苦くなります。

逆に挽き方が粗いと、味が薄めになり、酸味がやや強調されたコーヒーになります。

コーヒーメーカーは自動でお湯がでてくるため、温度の調節ができません。温度が高めのお湯が出るため、濃いコーヒーになりがち。粉の量を7割8割くらいに減らすか、粗めに挽いた粉を使うかして調整します。
(もともとコーヒーメーカーに備え付けのメジャースプーンはその点を考慮して、通常のものより小さめのものなのだそうです)

ペーパーを使わないメッシュフィルターは、コーヒーの油分がそのまま出るため、こってりした味わいになります。

コーヒーの保存は、空気にふれないように密閉して、湿気のない暗いところ(冷蔵庫、冷凍庫)へ。
粉は冷凍、豆は冷蔵がいいそうです。

 

完璧なコーヒーはないし、完璧な入れ方もないというのが中島さんの考え方。

気楽に家庭でおいしいコーヒーを楽しんで欲しいとおっしゃいます。

20年過ごした東京から廿日市へ戻り、暮らしやすい街だと実感されているという中島さん。

そんな廿日市で、駄菓子屋のような地域に密着した、子供がお使いに来るようなそんなお店でありたいと話してくださいました。

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東園 恵


はつかいち珈琲焙煎所 中島仲次郎商店
住所/広島県廿日市市平良2-9-30
電話/0829-30-8742
営業時間/10:00から18:00
定休日/日曜日、月曜日
http://nakajiro.com/home/
Instagram/http://picdeer.com/takejiro_0430

Writing:Kawasaki Kyoko