四代目が繋ぐ日本の伝統、畳の文化|(有)益田畳店

はつじょがいく!

廿日市市新宮ティナコート(アルク)裏にある、有限会社益田畳店にお邪魔しました。

専務の益田健一郎さんにお話をうかがいました。

大正14年創業。94年の歴史を持つ廿日市の老舗の畳屋

益田畳店さんは大正14年に今の場所で畳屋を始められました。

福岡で修行されていたひいおじいさんがこちらに戻ってきて、創業されてから94年。

おじいさん、お父さんと商売を引き継がれ、現在は四代目の健一郎さんがお父さんとお母さんと一緒に事業を継承されています。

その昔、宮島街道と呼ばれる2号線から向こうは海で、お店のあるティナコート裏の通りはいろいろなお店が立ち並ぶ、にぎやかなところだったそうです。

廿日市や近隣の畳屋さんの多くは益田畳店で修行を積まれて独立されているのだとか。

健一郎さんは、もともと違うお仕事をされていましたが、おじいさんからお父さんに代替わりするときにこの世界に入ることを決意。

以後17年、日々勉強で畳と向き合っていらっしゃいます。

厚生労働省の「一級畳技能士」の資格を8年かけて取得。実技の試験が大変難しく、仕事の合間に、同じく畳職人の仲間と勉強を続けてこられたそうです。

畳の魅力とは

畳は、世界に類がない日本固有の文化である。畳の原点は古代から存在する。古代の畳は、莚(むしろ)・茣蓙(ござ)・菰(こも)などの薄い敷物の総称であり、使用しないときは畳んで部屋の隅に置いたことから、動詞である「タタム」が名詞化して「タタミ」になったのが畳の語源とされる。(ウィキペディア Wikipediaより)

畳には素晴らしい機能、効果があります。(益田畳店ホームページより)

弾力性・断熱性・保湿性

畳表はい草で編まれたものです。
い草の断面を見てみると、スポンジ状になっていて、多くの空気を含んでいるのです。
い草も、わら畳床も、中の空気がほどよい弾力性と断熱の働きがあるので、転んでも安全です。

湿気の調整機能

い草のスポンジ状の部分や畳床には、水分を自然に吸湿する能力があり、空気が乾燥すると反対に放湿する調湿機能を持っています。
乾燥すると水分を取りたくなるのと同じです。

空気の浄化作用

い草のスポンジ状の部分には、二酸化窒素や有害な化学物質を吸収する能力があり、いつも快適です。

吸音効果

空気をたくさん含んでいる畳は、ショックをやわらげる力の他にも、音や振動を吸収する働きがあります。
だから、元気に遊んでも大丈夫です。

 

畳は、畳床と呼ばれる厚さ約5センチほどの板に畳表(たたみおもて)と畳縁を縫い付けたものです。

畳表はイ草と糸を織り合わせたもので国産のものはイ草の量が多くて、目が積んで丈夫なのだそうです。

いいイ草を使うとだんだんときれいなきつね色に焼け、夕方の時間帯はとてもきれいに見えるのだとか。

日本人が昔から畳を利用してきたのは、畳が日本の気候と風土にあった、大変優れたものであったからなのですね。

畳屋さんのお仕事

畳がささくれて衣服につく、湿っぽく感じる、長年同じ状態で色あせてしまっている…
このような状態の畳は張り替え時期です。

畳表を裏返して張り替える「裏返し」や、畳床はそのまま、畳表だけ新品に交換して張り替える「表替え」、畳床も含めて畳全体を新品に替える「畳替え」という方法で畳のお手入れをしていきます。

益田さんはまずお客様のところへ行き、畳の状態を診断。張り替えや交換にどれくらい費用がかかるか見積もりを出します。

張り替えの場合、当日朝8時半から9時には畳を引き取りに行きます。
畳の上にある家具などの移動もすべて益田さんが作業してくださいます。

その後お店に畳を持ち帰り、お父さんとお二人で貼り替え。
20畳もの畳を一気に張り替えることもあるそうです。

畳がすぐに必要な場合は、その日の夕方16時くらいには新しいものを設置することもできるのだそうです。

畳が新しくなると部屋も明るくなり、お客様に喜んで「ありがとう」と言っていただけるときがなによりも嬉しいとおっしゃる益田さん。そのために、日々一畳に思いをこめて、情熱をこめて縫っているそうです。

四代目が考案、「幸せ畳マット」で畳を暮らしに取り入れる

最近の新築マンションや住宅には畳のないところも多く、そういった住空間になんとか畳を取り入れることができないかと、健一郎さんが考えたのが「幸せ畳マット」。

玄関の上り口のマットが畳という斬新なアイディアです。

サイズを測り、玄関にぴったりあったものを作ることができます。

カビが生えにくく、日焼けや色あせしにくい和紙畳を利用。
色や目の出かたが様々な7種類の中から、住宅の雰囲気にあったものを選ぶことができます。
4種類の畳縁との組み合わせも楽しめます。

自宅用はもちろん、新築や結婚のお祝いにもいいですね。

畳のよさをもっと若い方にも知ってもらいたい、日本で昔から愛された畳の文化を継承していきたい。
健一郎さんは広島各地で頑張る同世代の畳職人の友人たちと、畳業界を盛り上げていこうとしています。

 

おじいさん、お父さんが、積み重ねてきた信頼。
地域や学校で役員をしたり、行事にも積極的に関わってこられたそうです。
廿日市で94年もの長い間、事業を続けてくることができたのはそのおかげと健一郎さんはおっしゃいます。
日本が世界に誇る文化を守り続ける四代目健一郎さん。
これからも若い新しい視点で畳のよさを発信していかれることでしょう。

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東園 恵

 


(有)益田畳店
住所/広島県廿日市市新宮一丁目6-6
電話/0829-31-1500
営業時間/平日8:00から17:00
定休日/日祝日
http://masuda-tatami-4daime.co.jp/

Writing:Kawasaki Kyoko