料理のアレンジが無限に広がる野菜シート「ぱっ葉」|オリオンテック株式会社

はつじょがゆく!

廿日市市津田にあるオリオンテック株式会社、代表取締役の島田正春さんにお話を聞きました。

島田さんは2009年に「環境」をひとつのテーマにオリオンテック株式会社を創業。
現在主な商品として、機密文書のリサイクル「みどりのポスト」と「ぱっ葉」という野菜シートを販売しています。

安全で地球に優しい機密文書のリサイクル「みどりのポスト」

企業の機密情報保護、個人情報保護の観点からも、そして二酸化炭素削減の観点からも有効で、セキュリティ・リサイクルを同時に実現できるのが緑のポストです。

事業所で出る紙文書を、ファイルやバインダー、クリップがついたまま分別せずに緑のポストに投函します。
製紙工場に運ばれ粉砕される際、金属やプラスチック類は自動的に分けられます。
紙類は溶解されトイレットペーパーなどにかわり、その他の素材もまた別の原料となり「ゼロエミッション」を実現しています。

みどりのポストは独自の特許技術である「計量キー」と「パーパーロック」で二重に保護され、事業所から工場での溶解処理まで未開封のままであることが保証されています。
プライバシーマークを持った製紙工場、運送会社と契約しており、セキュリティ面でも安心して利用できます。

シュレッダー処理された紙は繊維が切られるため、リサイクルに向きません。
シュレッダーを使った場合の費用を考えると、みどりのポストは経済的でかつ地球に優しい仕組みです。

商品特許をとった野菜シート「ぱっ葉」

島田さんが4年前から取り組んでいるのが、「ぱっ葉(ぱっぱ)」。
ぱっ葉は、野菜や果物を一切のつなぎを使わず一枚の海苔のようなシートにしたものです。
素材そのものだけを利用しているため、原料となる野菜の味をそのまま保っています。
でんぷんや寒天などのつなぎがないと割れやすく形成しにくいため、これまで似たような商品はあったものの、100%混ぜ物がない商品は初ということで、2019年11月に商品特許を取得しました。

食べてみると、しっとりとしていてびっくりするほど素材の甘みを感じました。
トマトぱっ葉も玉ねぎぱっ葉も、トマト、玉ねぎそのままの味です。
繊維はなく、口の中で柔らかく溶けていきます。

添加物も一切入っていないため、このまま介護食や離乳食などに使うことも可能で、また素材そのものの味がするため、レストランなどでプロの方が使うのにも向いています。

イタリアミラノで開催された、世界野菜料理コンテストThe Vegetarian Chance。アジア代表として出場し、3位に輝いたイタリア料理店『アル・ケッチァーノ』の奥田政行シェフが、このコンテストでぱっ葉を取り入れました。
和食にも洋食にも多様なアレンジができるのがぱっ葉の魅力です。

ぱっ葉開発のひとつのきっかけは東日本大震災でした。
震災後の生活の中で不足しがちな野菜も、なかなか生で運んだり管理することが難しく、島田さんは乾燥野菜を災害時用の備蓄食材にできないかと考えたのです。

ミキサーで砕いた野菜を「これ、紙に貼り付けて乾いたのをはがせんかな?」と思いついたところから、ぱっ葉の開発が始まりました。

トマト、ほうれんそう、キウイ、柿、りんご、いちご、小松菜、ねぎ、たまねぎ、豆苗など様々な野菜や果物に挑戦してきました。
トマトはトマトでも育て方が違うとぱっ葉の出来上がりの色が変わってくると言います。

同じく廿日市市津田にある「ひふみ市場」でぱっ葉を販売しており、ここではぱっ葉を使ったメニューも楽しめます。

ひふみ市場ホームページ
https://123ichiba.com/

今後は独自産業を求める中山間地域で、農家さんがグループになって余った野菜でぱっ葉を作ったり、企業の商品作りに活用してもらったりと、ぱっ葉の技術を自社で抱え込むのではなく、「三方よし」で多くの方に活用していただけたらと考えているそうです。

東園 恵

FMはつかいちで放送されました

オリオンテック株式会社
住所/広島県廿日市市津田4256
電話/0829-72-2230
http://www.orion-tec.co.jp/
http://www.patspa.jp/

Writing:Kawasaki Kyoko