お母さんたちの子育てを楽しく笑顔に|悦喜助産院

はつじょがゆく!

廿日市市新宮にある悦喜助産院、院長の悦喜桂子さんにお話を聞きました。

お母さんと赤ちゃんの笑顔のために

平成24年4月に開業された悦喜助産院。
「ほっこりゆるんで笑顔になって」をコンセプトに、お母さんと赤ちゃんが笑顔で過ごせるよう母乳育児相談にのったり、だっこやおんぶの方法を伝えています。
出産のお手伝いをするのではなく、地域の保健指導活動をする助産院です。

マンションの一室にある悦喜助産院は、押入れのスペースに赤ちゃん用グッズが置かれ、畳にマットが敷かれた素朴で温かみのある雰囲気です。
そして迎えてくれる悦喜さんの優しい笑顔。
お母さんたちから親しみをこめて「えっちゃん」と呼ばれています。
「お母さんが孤独にならず、身近な存在として相談にのれたらなと思うんです。」と悦喜さんは言います。

母乳育児で悩んだ経験が助産師になるきっかけに

悦喜さんは長男を出産後、母乳で育てようとしましたが、赤ちゃんが上手におっぱいを吸うことができず、1か月の間絞って飲ませていました。
やがておっぱいが出なくなり、桶谷式と言われる母乳育児相談室に相談に行きました。
そこで受けたおっぱいマッサージは全く痛みがなく、まるで美顔マッサージを受けているように気持ちよく、寝不足だった悦喜さんは眠ってしまうくらいでした。

その後おっぱいも出るようになり、楽しく母乳育児ができるようになった悦喜さんは、お産を取り上げるイメージだった助産師という仕事に魅力を感じるようになります。
母乳育児のアドバイスや子育てのサポートができる助産師になるため、2人の子どもを出産した後、助産師学校に通い免許を取りました。

廿日市市にあるJA廣島総合病院で17年間、助産師として働いていましたが、後半の8年くらいは、病棟課長として病棟の管理が仕事の中心になっていました。
お母さんに直接母乳育児の支援がしたい、桶谷式の技術を身につけたいという気持ちが募り、総合病院を1年休職。
単身、東京で学び、資格を取得し、また総合病院に戻ってきてから5年間、母乳外来を担当しながら開業に至りました。

おっぱいで育てたいと思っていても、実際やってみると赤ちゃんが上手に吸ってくれない、吸わせてみたらおっぱいが痛い、思ったより出てないんじゃないか、どのくらいミルクを足したらいいのか分からないと悩んで相談に来る方が多いそうです。

快適なだっこやおんぶで子育てをもっと楽に

母乳の相談に来るお母さんの中には、腱鞘炎になりそうな難しい抱っこの仕方をしている人がいます。
また、エルゴやベビービョルンなどのSSC(ソフトストラクチャーキャリア)と言われるバックルタイプの抱っこひもの正しい使い方が分からず、赤ちゃんを低い位置で抱っこして腰に負担がかかっていることも多いといいます。
「ちょっと調整するだけで、お母さんにも赤ちゃんにも負担のない抱っこやおんぶができるよ。」と正しい使い方を伝えています。

また布スリングやへこおび、ベビーラップを使った、布で赤ちゃんを身にまとうように抱っこするベビーウエアリングの体験&講習会を開催しており、最初は少し練習が必要だけれど、一度習得すればお母さんにとって大変楽で便利なこの方法を広く知ってもらいたいと考えています。
講座で知り合ったお母さん同士が友達になり、お付き合いが続いている方もおり、ここがお母さんたちが繋がれる場所になればと願っています。

昔と違い、出産時の入院日数も短く、また核家族化で赤ちゃんのお世話のやり方も分からないまま、待ったなしに赤ちゃんとの生活に入るお母さんたち。
ネットの情報はその人の経験で、どの人にも当てはまるわけではありません。
7人から10人に一人の割合で産後うつを経験すると言われています。

「出産ってゴールじゃなくて育児のスタートなんです。お母さんたちに孤独な育児をしてほしくない。今後は妊婦さんにも目を向けて、妊娠中から助産院ってどんなところか、えっちゃんてどんな人なのか知ってもらいたいと思っています。」

助産院というのは何かトラブルがないと行くところではないと思っていたというお母さんもいる中、最近では出産前から助産院に通い、出産してすぐに「生まれました!退院したらその足で行ってもいいですか?」と連絡してくる方もいるのだそうです。

困ったときはもちろん、困ったことが起きないために利用するのが助産院。
「自分を助産師として育ててくれた大好きな廿日市で、お母さんたちの子育てが楽しく楽になるようサポートしていきたいです。」と話してくださいました。

東園 恵

FMはつかいちで放送されました

えつき助産院
住所/広島県廿日市市新宮1-13-18 大野ビル501
電話/0829-31-5366
営業時間/9:00~17:00
定休日/水・日曜日、祝祭日
https://etsuki-mw.com/

Writing:Kawasaki Kyoko