日本一の共生の町へ|市民グループええじゃん(Asian)

はつじょがいく!

廿日市市駅前にある、サポート1番館の市民グループええじゃん(Asian)さんにお邪魔しました。

代表の栗林克行さんにお話を聞きました。

栗林さんは県の職員を退職後、行政書士をしながらボランティア活動を行っています。

市民グループええじゃん(Asian)の成り立ち

市民グループええじゃんは、2004年(平成16年)に地域に在住する外国人の支援を行う目的で立ち上がりました。広島弁の「ええじゃん」とAsianを掛け合わせ、アジアの架け橋を目指しています。

2008年(平成20年)に外国人無料相談を開設して以来、在住外国人をめぐるトラブルなどについて相談を受け、寄り添う活動を続けています。

代表の栗林さんを中心に韓国、中国、フィリピン、ベトナム出身で長く日本に在住している外国人スタッフや弁護士、司法書士、社会保険労務士、大学の先生、福祉の専門の方と連携をとって在住外国人のサポートにあたります。

ええじゃん(Asian)の活動

在住外国人をサポートするため、外国人相談、トラブル体験会、学習支援などを行っています。

廿日市市には1000人を超える外国人が生活しています。

日本人と結婚して定住するようになった方、仕事のため家族とともに生活している方、技能実習生として仕事をしている方、また中国や満州からの帰国者など外国人ではないけれど生活様式が日本人とはちがう方など、背景は様々です。

多様な外国人相談

ええじゃんで受ける相談、それに対するサポートは多岐にわたります。

家庭の問題、地域の問題、雇用上の問題、在留資格に関する問題。

ビザや在留資格の変更、勤務先での事故への対応、病院への付き添い、通訳、関係機関への同行などをボランティアで行っています。

市民グループの範囲でできないところは専門家につなげます。

栗林さんが気を付けていることは、相談者の持ち時間を見極めること。

内容によっては1週間後、10日後では手遅れになることもあるため、どれだけ時間に猶予があるのかを把握し、本音のところの悩みを聞き出します。

最初から日本人に対して心を開いてくれる方ばかりではなく、なぜこんなに親切にしてくれるのだろう、逆に騙されているのではないかと感じる外国人もいて、その溝を埋めるのはなかなか難しいとおっしゃいます。

日本人が問題に感じることは外国人にとってはなおさらのこと。

余裕もなく、どこに相談したらいいのかもわからない外国人に寄り添い、その人の悩みを全部聞いて、何から取りかかるかを決めてあげる。そして最後まで見守る。この姿勢を一貫して続けてこられました。

トラブル体験会の実施

地震などの大規模災害時にも、災害弱者である外国人や障がい者の状況を把握するため、栗林さんは現地に赴きます。

いざというときのためのシミュレーションを行うため、「避難所体験会」をはじめとしたトラブル体験会を開催しています。

仮想避難所で安否確認、ブースの設営、避難方法の確認、避難所暮らしのトラブルやルール作りなどを外国人や障がい者の方と共に体験するもの。

言葉の分からない相手にどうやって避難指示を伝えるか、困ったことをどのように伝えるか、身元、属性を明らかにするパスポートや在留カード、健康面での情報を知る健康保険証やお薬手帳の保存、携帯はどうしたらいいのか、そういったことへの理解を深めます。

サポート1番館への思い

ええじゃんは栗林さんが2018年4月に廿日市駅前にオープンしたサポート1番館を拠点にしています。

3階建ての建物の1階には司法書士である奥様の事務所と、鉄板料理のお店、2階には介護を学べる学校、そして3階にええじゃんの事務所、シェアオフィス、多目的室があります。

外国人、障がい者、高齢者などの法律、福祉、その他全般の相談を受け、市民レベルの助け合いにつなぐ活動拠点になるようにとの思いでオープンされました。

困った方があちこち出向くのではなく、ここで専門家に一括で相談できるようにと考えています。

 

明治維新以来、日本一移民の多かった広島。廿日市からもハワイへ、北米へ南米へブラジルへとどんどん世界に出て行った時代がありました。

そのパイオニア精神を今度は国内に向け、違いを認めあう共生社会を作りたい。日本一の移民の町から日本一の共生の町へ。廿日市ならそのモデルケースを作ることも不可能ではないと力強く話してくださいました。

FMはつかいち放送分はこちら

東園 恵


市民グループええじゃん(Asian)
住所/広島県廿日市市駅前1-3
電話/090-6436-0200
https://www.h-asian.org/
https://www.facebook.com/asian.org

Writing:Kawasaki Kyoko